欧州連合(EU)
•エコデザイン規制(Ecodesign Directive): 2022年から、EU内で販売される新規の薪ストーブは厳しい排出基準を満たす必要があります。具体的には、PM2.5の排出量が1ギガジュール(GJ)あたり375g以下であることが求められます。ただし、北欧諸国ではさらに厳しく、150g/GJを基準とする国もあります。これでも、ガスや電気ヒートポンプ(10g/GJ以下)と比べると大幅に汚染度が高いため、「クリーン」とは言い難い状況です。
•バイオマスの「グリーンエネルギー」からの除外:EUは、気候変動対策としてのバイオマスの見直しを進めており、2021年には木材燃焼への補助金や税制優遇の段階的廃止を決定しました。2027年以降、一部の国では個別バイオマス燃焼(薪ストーブや暖炉など)の禁止が予定されています。さらに、「エコ」宣伝の違法化も検討されており、誤解を招くマーケティングへの対策が強化されています。
•都市部での制限:ロンドンでは、2023年に新築や改築での薪ストーブ設置が事実上禁止されました。また、スモークコントロールエリア(Smoke Control Areas)では、認定された低排出ストーブ以外での木材燃焼が違法で、違反者には罰金が科されます。
アメリカ合衆国
•EPAの新規性能基準(NSPS): 1988年以来、米国環境保護庁(EPA)は薪ストーブの製造・販売に対して排出規制を設けています。2020年の最新基準では、新規ストーブの粒子状物質排出量が1時間あたり2.5g以下に制限されました。ただし、既存の古いストーブには適用されず、交換プログラムが奨励されています。
•地域規制:カリフォルニア州のサンホアキンバレーでは、住宅売却時にEPA認定ストーブへの交換が義務付けられ、汚染レベルが高い日には薪ストーブの使用が制限されます。コロラド州デンバー周辺では、「レッドアドバイザリー」期間中、標高7,000フィート以下の地域で薪の燃焼が禁止されます。