BMRQは、音楽を聴いたときに感じる感情の盛り上がりや、頭ではなく体が自然と動き出すようなリズムへの乗り方、さらに曲をきっかけに生まれる人との一体感まで、まるでプリズムに光を当てるかのように“音楽の楽しみ方”をいくつもの色合いに分けて測定できるツールです。
おまけにメロディを正しく聴き取れるかを調べる音楽知覚能力や、食べ物でもギャンブルでも「快感全般に敏感」な人かどうかを見る一般的な報酬感受性のテストも合わせて実施。
いわば「音楽の喜び」をいろんな角度から一斉に照らし出す複合検査を一気に進めたのです。
その結果判明したのは、“音楽をどれだけ楽しめるか”という個人差のおよそ半分以上(54%前後)は、遺伝子が関与しているという事実でした。
(※この54%という数値は数々の双子実験のなかでも比較的高い数値となっています。音楽の才能の8~9割前後が遺伝子によって決まると考えられていることから、音楽を楽しむ力も遺伝子の影響が大きいのかもしれません)
つまり、頭からつま先まで震えるほど感動するか、それとも「まあ普通かな」で終わるか――私たちの音楽体験の大部分には、“生まれつきのコード”とも呼べるような遺伝的設計図が潜んでいるのです。
これは双子研究でもかなり高い部類の数値で、「私たちの音楽ライフは意外とDNAに左右されているかもしれない」という考えを一気に後押しする結果となりました。
さらに面白いのは、単に「耳がいい」「快感を感じやすい」タイプだから音楽に魅了されるわけではなさそうだ、という点です。
メロディやリズムを的確に捉える能力や、普段の生活で快楽を求めがちな“報酬感受性”との一部重なりは確かに見つかったものの、その重なりでは説明しきれない“音楽特有の楽しみ”に関わる遺伝的要因が存在したのです。
たとえば、演奏は得意でも「聴いてもそこまで感動しない」という人もいれば、逆に演奏は苦手なのに大好きな曲に出会うと全身に鳥肌が立つほど感情が昂ぶる人もいる。