欧州5大リーグといってもAPTについては国ごとに異なり、プレミアリーグで50~55分、ラ・リーガで55~60分、ブンデスリーガで53~57分程度とバラつきがある。特にプレミアリーグは激しい展開で笛が吹かれる場面が多く、APTが短めになる傾向がある。

JリーグがAPTに注目するのは、試合の質と流動性を高め、国際競争力をつけるための戦略的な選択だった。しかし欧州5大リーグでは、それぞれが既に確立されたスタイルや優先事項(インテンシティ、戦術、個人能力)があるため、APTはあくまで“参考程度”の指標に留まっている。

JリーグがAPTを強調する姿勢は、成長過程にあるリーグならではの特徴であり、欧州とのギャップを埋める1つの手段に過ぎない。APTが試合の質を決めるというのはあまりにも近視眼的であり、そこに囚われるのは目的と手段を取り違えていると言わざるを得ない。APTを重視することを全否定まではしないが、選手別あるいはチーム別の走行距離や戦術の洗練度となどのバランスが今後の課題と言えよう。