一方で、欧州5大リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガ、 リーグ・アン)ではAPTが注目されることは少ない。あくまで“マニアックな数字”として扱われている。
プレミアリーグはフィジカルコンタクトとオープン展開が特徴で、走行距離やスプリント回数、プレッシング強度などのデータが重視される。APTよりも、インテンシティーやゴール期待値が試合分析の中心だ。
ラ・リーガでは、テクニックとボール支配率、パス成功率が注目される。APTについても議論に上ることはあるものの、試合の質を測る指標ではない。
セリエAは、何と言っても監督同士の戦術的な駆け引きが最大の見どころで、守備の組織力やカウンターの精度が焦点で、戦術の完成度が優先される傾向にある。
ブンデスリーガは、ハイプレスとトランジション(攻守の切り替え)が重要視され、走行距離やスプリント数のデータが先に立つ。APTは時折、話題に上るものの、試合の魅力を測る指標とは見なされていない。
リーグ・アンは、アフリカ系選手が多いのが関係しており、個人能力とスピードが強調され、ドリブル成功数やシュート数が注目される。APTは議論にも上らない。

欧州、APTはあくまで結果論
欧州では、試合が途切れることも戦術の一部として受け入れられる傾向がある。例えば、セリエAでは選手が倒れて時間を稼ぐタイムマネジメントも伝統とされ、プレミアリーグでは激しいファウルも試合の魅力と見られている。
例えば、3月23日に開催されたUEFAネーションズリーグ準々決勝のドイツ代表対イタリア代表の第2戦(ジグナル・イドゥナ・パルク/3-3で引き分け、ドイツが2戦合計スコアを5-4として準決勝に進出)。
前半36分にドイツがコーナーキックから2点目を奪った場面で、ボールボーイを務めた15歳のドイツ人少年ノエル・アーバニアックさんは、DFと戦術面を擦り合わせるために一瞬ゴールを空けていたイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマの隙を突き、すかさずドイツ代表MFジョシュア・キミッヒにボールを渡しクイックリスタート。MFジャマル・ムシアラのゴールに繋げた。