本日発表になったアメリカ2月度の雇用統計は事前予想の16万人を下回る15.1万人。この先、数か月は売り上げ減に伴う企業の解雇が進むとみられ雇用統計は冴えない展開となり、失業率の行方次第ではパウエル氏の金利政策にも影響しそうです。ただスタグフレーション化すれば物価は上がる一方、雇用は悪化するので金利がすぐに下がるかは微妙です。次回はせいぜい6月ぐらいではないかと推測します。いずれにせよトランプ政策が経済界とのハーモニーを演出できるかが勝負です。現在は指揮者のトランプ氏と楽団である経済界は、きーきーという不協和音だと申し上げておきましょう。
日本人は外国人経営者がお好き
セブンイレブンが井坂社長の退任とスティーブン デイカス氏の社長就任を発表しました。買収に関する特別委員会の委員長が社長になるなら初めからカナダのクシュタール社に買収をさせないための伏線だったのか、と思われても仕方がないでしょう。買収防衛策の一環、あるいはうがった見方をすれば伊藤興業による買収案は可能性が低いもののそれを模索させる時間稼ぎをし、その間、井坂氏からデイカス氏にバトンタッチする出来レースであったような気がしないでもありません。一方、アメリカ人経営になると経営会議で日本的な紛糾がしにくくなるのも特徴で外国人経営者にはやりやすい環境だと言えます。
同様に日産は11日に取締役会が開催されますが、内田誠氏の退任ありきというよりも、候補者が議論され、役員会で賛同を得られるかというシナリオの状況です。現CFOのジェレミー・パパン氏が最有力候補ですが、仮にパパン氏が暫定ではなく、正式な社長となればホンダとの合流を再度探るのは目に見えているのでパパン氏の社長就任賛同=ホンダ傘下での合流再交渉とも言えます。ただし、ホンダ日産の合流話はホンダ側ももろ手を挙げて賛成という雰囲気ではなく、「相乗効果」期待ではホンダの本心は親より娘の三菱自動車が欲しいということでしょう。親はいらぬが、勝手についてくる感じだと思います。一方、娘はイヤイヤしているので結局、ホンダ日産の話は難しい気がします。

カルロス・ゴーン氏とスティーブン・デイカス氏