また米国のLNG輸出を拡大し、エネルギードミナンスを確立するには米国が安定的な供給ソースとしての信頼されるパートナーであることが不可欠だ。しかし同盟国であろうとお構いなしに発動されるトランプ関税はそうしたイメージを大きく損なうものだ。

気候変動枠組み条約からも離脱か

トランプ大統領は初日にパリ協定からの離脱を表明したが、気候変動枠組み条約については言及していない。

今回の面談相手に「これは米国が枠組み条約には残留することを意味するのか」と聞いてみたが、異口同音に「様々な国際機関、国際イニシアティブが米国第一という目的に合致しているかを6か月かけてレビュー中であり、枠組み条約については議論すらされておらず、この問題にエンゲージするつもりはないだろう」との答えであった。

「脱炭素を全てに優先するクレージーな議論を是正するためにも、枠組み条約やIPCCにとどまって声をあげるべきではないか」と問題提起してみたが、「トランプ大統領はそんな面倒なことをするよりは、自分たちには関係ないとして無視する方を選ぶだろう」とのことだった。

IRAの縮小

IRAの縮小については、共和党の下院議員21名から連名で税額控除を維持すべきだとのレターが出る等の異論もあるが、トランプ減税の継続に加え、チップ非課税、残業手当非課税等、選挙中の追加的な約束を果たすためには7-8兆ドルの財源が必要となる。このため太陽光、風力、電気自動車等の税額控除は間違いなく切られるだろうとの見方が支配的だ。他方、原子力、地熱、CCUS、重要鉱物、製造業支援等、トランプ政権も重視する項目は温存される公算が高い。

ちなみにトランプ大統領がとりわけ風力に否定的な理由を聞いたところ、「彼のプレイするゴルフ場から見える風車が目障りだった」「彼は鳥が好きであり、鳥が風車にぶつかって死ぬことが許せない」という「いかにもトランプらしい」説明が印象的だった。

危険性認定の見直し