アメリカのハワード大学(HU)で行われた研究によって、「私たちの体を形づくる小さな“細胞”が、いま世界中で開発競争が激化している量子コンピュータよりも速く“計算”できるかもしれない」と提案されています。

一見するとSFのように聞こえますが、最新の実験結果によれば、私たちの身体を支えるタンパク質構造が量子力学の原理を巧みに利用し、ピコ秒(1兆分の1秒)という驚異的なスピードで情報を処理している可能性が示唆されています。

もしこの現象が本当に存在するならば、私たちの細胞は「生体量子コンピュータ」と呼べるほど高度な演算能力を秘めていることになります。

では、いったい細胞はどのようにして、現行の量子コンピュータすら凌駕するような高速演算を実現しているのでしょうか?

研究内容の詳細は『Science Advances』にて発表されました。

目次

  • 計算する宇宙、そして生命
  • 細胞の計算速度は量子コンピューターを超える
  • 地球規模の情報処理と私たちの存在意義

計算する宇宙、そして生命

計算する宇宙、そして生命
計算する宇宙、そして生命 / 細胞骨格は、まるで建物の骨組みのようなもので、細胞の形を保ち、内部の器官を支える役割を果たしています。 細胞内にある微小管やアクチンフィラメント、インターメディエイトフィラメントなどの細かいタンパク質繊維が組み合わさり、細胞全体に強固なネットワークを形成しています。 これらの繊維は、細胞が力を加えたり、動いたり、分裂する際に重要な役割を担っており、まるで細胞が自分自身の構造を自在に変えるための内部の“足”や“支え”のような働きをしています。 また、細胞骨格は、情報の伝達や細胞内輸送にも関与しており、必要な分子や物質を細胞内の各所に効率よく運ぶ役割も果たしているのです。今回の研究ではこの細胞骨格のようなタンパク質繊維が超放射を行っている可能性が調べられました。/Credit:Canva

近年、「あらゆる物理システムは、その振る舞いのすべてが何らかの情報処理(計算)である」という新しい視点が注目を集めています。