誰だって、自分の悪口を言われていい気分にはならないですよね?
たとえば、SNSの裏アカで「〇〇の服センスないよね」と陰口を叩かれていたことを知ったら、多くの人はショックを受けたり、怒ったり、ちょっと落ち込んだりすると思います。
でも、世の中には「陰口でも自分の話をされたらうれしい」という、ちょっと変わったタイプの人たちがいることが、心理学の研究によって明らかになりました。
研究を行ったのは、ミシシッピ大学、デューク大学、ドイツのカイザースラウテルン・ランダウ大学(RPTU)の研究者たちです。
「陰口を言われることに対して人はどう感じるのか?」というテーマで、アメリカの大規模な全国調査を含む5つの実験を行い、ナルシシズム傾向の高い男性だけが、陰口(ネガティブなゴシップ)でさえも『注目の証』として喜ぶ傾向があると判明したのです。
なぜ彼らはそんな“特異な反応”を示すのでしょうか? 今回は、そんな人間心理の不思議な裏側を解説していきます。
この研究は、2025年2月28日に科学雑誌『Self and Identity』に掲載されています。
目次
- 普通の人は「自分の噂」はイヤ。ナルシストだけが「人気者アピール」に変換する!?
- 悪口すら「ご褒美」!ナルシストの脳内で起きていること
普通の人は「自分の噂」はイヤ。ナルシストだけが「人気者アピール」に変換する!?
この研究のきっかけとなったのは、社会の中で“ゴシップ”が果たす複雑な役割にあります。
ゴシップとは、第三者が不在の場でその人物について話す行為であり、ネガティブな内容だけでなく、ポジティブな話題も含まれます。
従来の心理学では、ゴシップは集団の結束を高めたり、社会的ルールを共有する手段として扱われてきました。
よく飲み会などでは、本人がいない状況でその人の話題が上がったりすることがよくあります。こうした行為が悪口であれ、褒め言葉であれ、集団の結束に影響するというのです。