つまり、個人の適性を重視することはもちろんですが、それだけでは組織が回らなくなる可能性がある。したがって、組織全体の目的や機能を明確にし、そのうえで「今、このチームではこの役割を求めている」という視点を持って配置していくことが大事ですね。

黒坂:それは国際経済論における比較優位の考え方に近いですね。たとえ得意でなくても、組織全体の最適化を考えたときに、そのポジションを担うことが合理的である場合がある、ということですね。

後藤:まさにそうですね。なので、「適性を考慮する」と「組織全体の最適化を図る」という二段構えで考えるのが重要だと思います。

黒坂:そして次のポイントですが、「リーダー自身が自己成長を続けること」も欠かせません。

リーダーが成長を止めてしまうと、部下にとっても刺激がなくなり、結果として組織の成長も止まってしまいます。特に、優秀な人材ほど「この人についていく価値があるか?」を重視するものです。学びがないと感じた瞬間に、彼らはより良い環境へと流れてしまいます。だからこそ、リーダーは自身のレベルを常に高め、背中で語ることが大事なのではないでしょうか。

後藤:全く異論はありません。リーダーの思考の枠を超える形で、メンバーが考えることはもちろんありますが、組織のパフォーマンスという点で見れば、やはりリーダーの器を超えた成長はしにくいものです。

また、リーダーの仕事は「手を動かすこと」ではなく、「枠組みを決め、判断を下すこと」ですよね。そう考えると、現場のメンバー以上に頭を使い続けることが求められます。リーダーが思考を止めてしまえば、組織の成長も止まってしまう。それを自覚し、学び続ける姿勢を持つことが大切ですね。

黒坂:確かに、マネージャーとしての価値を合理的に示すことも重要ですよね。単に部下より給料が高いだけではなく、リーダーがいることで組織の粗利が上がるという明確な価値を示さなければなりません。