黒坂:本当にその通りですね。本日の議論を通じて、部下の育成には「適性の見極め」「リーダー自身の成長」「部下の思考力の向上」「長期的視点」の4つが大切であることが明確になりました。
議論4:日本企業のリーダーに求められるものとは?
黒坂:私が考える最も重要なポイントは、「知識を身につけること」です。なぜなら、知識は物事の解釈の幅を広げ、成長を促す力があるからです。例えば、私自身が20代の頃、経験したことに対して今のように多面的かつ深く考えることができませんでした。
しかし、学びを積み重ねる中で、過去の経験を新たな視点で捉え直し、「こういう意味があったのか」と理解できるようになったのです。つまり、事実は一つでも、それをどう解釈するかで未来が変わる。その解釈力を養うために、知識は欠かせません。
現在の日本の企業環境では、パワハラやコンプライアンスの問題など、気にしなければならない変数が非常に多くあります。そのため、上司が余裕を持てず、自己保身に走るケースも少なくありません。部下を厳しく指導できない、成長を促す余裕がないといった問題も生じています。しかし、私は上司の立場も理解できます。決して彼らが悪いわけではなく、組織の仕組みや環境が影響しているのです。
だからこそ、リーダーには「知識を学び、解釈力を高めること」が求められます。知識が増えれば、状況に対する理解が深まり、適切な判断ができるようになります。そして結果的に、部下の成長を促し、自分自身も成長できる。これは、まさに「Win-Winの関係」を築くことにつながるのではないかと考えています。
後藤:黒坂さんの「自己保身」というキーワードには、私も非常に共感します。多くの管理職の方々が、自分自身の立場を守るために、どうしても「今、この瞬間」を優先してしまう傾向があると感じます。実際に、組織のトップ以外のほとんどのリーダーは「中間管理職」という立場です。そのため、彼ら自身が上司からのプレッシャーにさらされ、「今を生き抜くこと」が最優先になってしまうのです。