この問題の本質は、「恐怖の捉え方」にあると考えています。最近、弊社の安藤から「人間の聡明さは恐怖の捉え方に表れる」と言われました。これは非常に本質的な考え方です。多くの中間管理職は、上司からのプレッシャーや短期的な業績への評価を「恐怖」として捉え、その場しのぎの判断をしてしまいます。しかし、本来リーダーが恐れるべきは「長期的な成長を見失うこと」ではないでしょうか。

もし、管理職が「短期的なプレッシャーに対応すること」ではなく、「長期的に成長できないこと」を恐怖だと捉えられるようになれば、リーダーの行動は変わるはずです。つまり、部下に対する指示や求めることも、「今だけを乗り切るためのもの」ではなく、「将来を見据えたもの」へと変わるでしょう。長期的な視点を持ち、部下の成長を促すためのルールや目標設定を見直すことが大切なのです。

しかし、これは簡単なことではありません。人間は本能的に、瞬間的な恐怖や苦痛を回避しようとするものです。そのため、「今すぐに楽になりたい」という感情に流されてしまうことが多いのです。ただ、そこをグッとこらえ、感情に流されるのではなく、「長期的に見て何が本当に自分のためになるのか?」を考えることが、リーダーとしての大きな成長につながるのではないでしょうか。

黒坂:おっしゃる通りですね。リーダーとしての成長には、「知識」と「長期的視点」が必要不可欠です。目の前のプレッシャーに流されるのではなく、知識を身につけ、自分の判断力を鍛える。そして、短期的な恐怖ではなく、長期的な成長を意識する。これができるリーダーこそが、これからの時代に求められるのではないかと感じています。

後藤:まさにそうですね。本日の対談を通じて、日本企業のリーダーや管理職に求められる視点について、改めて整理することができました。短期的な課題に追われる中でも、知識を深め、恐怖の捉え方を変えることで、リーダーとしての在り方をより良いものにしていけるのではないでしょうか。本日はありがとうございました。