黒坂:また、それと関連して、私は「ステークホルダーを正しく見ること」の大切さを感じています。
部下は、つい自己保身に走ったり、目先の上司の機嫌を取ることに意識を向けがちです。その結果、上司に怒られないための資料を作ったり、上司が気に入りそうな報告をしたりしてしまうんですよね。しかし、本来のステークホルダーは「顧客」であるはず。
会社が存続するのは、顧客が満足し、売上が上がるからこそ。部下が作るアウトプットも、最終的には顧客に届くことを意識しなければいけません。
「上司に評価されること」ではなく、「市場に評価されること」を目指すべきです。会社の中でしか通用しないスキルを磨いても、いざ転職や独立を考えた時に、外では全く評価されない人材になってしまいます。逆に、顧客ニーズに応えられる人材は、どんな環境でも活躍できるのです。
議題3:これから部下を育成していく上司は何をしていくべきか
黒坂:この議題はいくつかポイントがあるので、一つずつ掘り下げていきましょう。
まず最初のポイントですが、「部下の能力と適性を正しく評価すること」が重要だと考えています。リーダーは、部下の強みや弱み、そして感情的な側面も含めて総合的に判断し、それぞれが最も能力を発揮できるポジションに配置することが求められます。そのためには、定期的なワン・オン・ワンミーティングを行い、部下の思考やキャリア観、価値観を理解することが不可欠です。そうすることで、適材適所の配置が実現できるのではないかと考えます。
後藤:おっしゃる通りですね。適性を見極めることは重要ですが、一方で、適性が完全にない場合でも、やらざるを得ない状況というのもありますよね。例えば、野球チームでピッチャーがいない場合、適性がないとしても誰かが務める必要があります。同じように、組織の機能として必要な役割を整えたうえで、その中で最適な配置をすることも大切だと思います。