二つ目は「挑戦と成長の機会を提供すること」です。

部下が単調な業務をこなすだけでは、実績も経験も積み上がりません。新たな業務に挑戦させたり、時にはプロジェクトの責任者を任せたりすることで、部下の自律性を促進することが大切です。特に、仕事で最も重要なのは「自走できる能力」だと思っています。指示待ちの姿勢では成長はありません。そのため、成長できる環境や機会を提供することがリーダーの役割の一つだと考えます。 三つ目は「誠実なフィードバックを行うこと」です。

単に「頑張ったね」「よくやったね」といった精神的な慰めだけでは、部下の成長にはつながりません。重要なのは、「今の課題は何か」「どうすればその課題を突破できるのか」を具体的に議論することです。フィードバックを通じて、次のステップへ進むための指針を示すことが、真に優しいリーダーの姿だと思います。

この三つが揃ってこそ、部下にとって本当に優しいリーダーと言えるのではないでしょうか

後藤:まさにおっしゃる通りですね。最初の「明確な基準と期待値を示すこと」に関しては、私も全く同意します。やはり、人は「自分自身で実行した経験」によって最も学びます。

例えば、「賢者は書物で学び、愚者は経験で学ぶ」という言葉がありますが、どんなに頭の良い人でも、実際にやってみなければ本当の学びにはなりません。自分の意思で実行し、成功や失敗を経験することで、成長につながるんです。誰かに言われてやっただけのことは、自分の糧にはなりません。もし上司に指示された通りに動いて、それが成功しても、成長するのは指示を出した上司であって、実行した部下自身ではないんですよね。

また、リーダー自身も「自らの責任で意思決定を行うこと」が成長の鍵になります。私もチームを作る際には、自分の責任として戦略を決め、組織の枠組みを整え、意思決定を行ってきました。だからこそ、勝った時も負けた時も、それが自分の成長の糧になっていると感じます。誰かの指示に従って動くだけでは、本当の経験にはならないと思います。