司会:1990年代初頭、ソ連が崩壊し、冷戦時代の様々な極秘資料が表に出るようになった。リヒテロヴァ氏はチェコスロバキア(今はチェコとスロバキア)の極秘資料を入手し、これを詳細に研究した。彼女の本を読むと、スパイ活動の実態が分かってくる。スパイは普通の市民として社会に溶け込み、生活をしながら情報を集めていた。

リヒテロヴァ氏:公的資料を入手したとき、黒塗りであると失望するものだ。しかし、冷戦後、新たなに政権を取った政治家たちは、資料の内容を隠さずにそのまま出していた。こうした資料を見ると、1960年代、70年代、いかにソ連が破壊戦略をチェコスロバキア、東ドイツなどの社会主義諸国に輸出していたかが分かる。例えばチェコスロバキアを使って西側に対して攻撃を行う計画を複数立てていた。ターゲットとする国の政策を変えるよう揺さぶりをかけようとした。

破壊工作のアウトソーシング

リヒテロヴァ氏:冷戦時代のソ連もそうだが、ロシアも一連の破壊工作をアウトソースしている。つまり、ロシア以外の国の人材にやってもらう。監視行為をだれかにやってもらう。これを担当する人は必ずしもプロではなく、アマチュア同然の一般市民であったりする。

司会:ナワリヌイ氏は以前にも暗殺未遂事件にあっており、ロシアに戻ればまた命を狙われるかもしれないと知りながら、ロシアに戻った。勇気ある行為だった。一方のプーチン大統領は、公の場では一切ワリヌイ氏の名前に触れない。病的とさえいえるほどだ。

ロシアの市民社会はどれほど長くプーチン体制を支持できると思うか。

ソルダト氏:私が思うに、すでにプーチンはスターリンと比較されるレベルに来ている。1960年代、70年代には、政府の論調に同調しない人でも逮捕されるとは思わなかった。比較的安全だった。しかし今はそうではない。

今はナワリヌイ氏に同調すれば、長期間収監されてしまう。彼の政治活動は「テロリストの活動」と言われてしまう。何にもしていないのに、刑務所に入れられる。かつては、中流階級の人が政府の批判をしても、逮捕されるのは下流にいる人々だけだった。今は違う。