たとえば、ロシアを懲らしめるはずの制裁としてのエネルギー輸入の停止は、ロシアに代替輸出先を探させただけで、欧州の一般市民を大きく苦しめている。欧州系の企業にとにかくロシアから撤退するように強いた挙句、残した資産をロシア人が活用したりしてまで地場企業で経済を維持しているのに、欧州企業は市場を失っている、といった現象が普通の出来事になってしまっている。
アメリカのトランプ大統領は、「アメリカ・ファースト」の政策を「常識革命」と呼んでいる。欧州の状況と比べると、意味深い。国家は、自らの国力を充実させることを最優先に考えるべきだ。それは確かに「常識」である。
仮に国際秩序のために貢献することが長期的な啓蒙された国益にもかなうことがあるとしても、自国の国力を弱体化させる政策まで取り始めるのは、本末転倒である。自分が倒れてしまったら、敵を倒すことはもちろん、仲間を支援することすら、できなくなってしまう。
日本の「ウクライナ応援団」も、ロシアを悪魔化するあまり、とにかくロシアを貶め、ロシアとの関係を断ち、隠れ親露派と思われる人物も何とかしてあぶりだして攻撃するのを主要な活動内容とする集団となってしまった。
これは「常識」的ではない。世界の多くの諸国の人々も、達観し始めている。早くそのことに気づいたほうがいい。
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