元局長は本件文書とは別に、令和6年4月4日に県の窓口に公益通報を行い、そのことをマスコミに公表した。その内容は明らかにされていないが、報告書は、その内容が本件文書の上記事項1~7から事項1を除外した他は、ほぼ同じである旨を記している。

県が令和6年5月7日に元局長に科した「停職3月」の懲戒処分の理由は以下の4件で、②~④は同年3月25日に片山元副知事(元副知事)が元局長から引き上げた公用PCから判明した。このことは、通報者探索に伴って判明した証拠が懲戒処分の理由になり得るか否か、という点で重要である。

① 誹謗中傷文書(本件文書)の作成・配布 ② 人事データ専用端末の不正使用(人事管理職時に、特定の職員の顔写真データに関し、業務上の端末を不正に利用すると共に、個人情報を不正に取得し持ち出した) ③ 職務専念義務違反(平成23年から14年間にわたって、勤務時間中に計200時間程度、多い日で1日3時間、公用パソコンを使用して業務と関係ない私的な文書を多数作成した) ④ ハラスメント行為(令和4年5月、次長級職員に対してハラスメントを行い、著しい精神的な苦痛を与えた

公益通報

本稿では、委員会が本件文書の配布を、① 公益通報(外部通報・3号通報)に該当する、② 3号通報での通報者探索は違法である、③ パワハラは公益通報できる、と判断していることを先ず述べておく。

一方、県は本件文書を公益通報に当らない「怪文書」と見做して通報者を探索し、それを元局長と特定して、彼の公用PCから懲戒処分の証拠を見出した。前記に基づけば、県の通報者探索や公用PCの引き上げは違法なので、ここはポイントである。

但し、専門家の間でも、① 本件文書が3号通報に当るか否か、② 3号通報での通報者探索が適法か違法か、③パワハラが公益通報の対象か否か の3点については意見が分かれ、百条委員会も公益通報に当らないとする野村修也・徳永信一両弁護士に書面を求めた。