しかし、トランプ政権は市場価格に基づき、日本の外貨準備が額面上4倍に膨らむスワップに同意するだろうか?それが不安なのは、もう一つ提唱している「100年債」は、発行価格がもっとトンデモな数字になるからだ。
仮に100年償還でも割引率は30年債と変わらぬ5%のままだとする(大甘)。それでも100年債の発行価格は額面の130分の1、1億ドルの短期国債を市場価格でスワップするなら、額面は約131兆ドルに膨らむはずだ。どうして「100年割引債」なんて非現実的なアイデアを言うのか、それは、こんな発行価格にするつもりは毛頭ないからだろう。
まとめると、利払いのない長期債、”Century Bond(百年債)”へのスワップの問題点は3つだ。
利払がなくなるので、日本の外貨準備、財政にとって大きな痛手になる 市場価格に基づかない長期債へのスワップが強要される恐れがある(割引率を値切られれば値切られた分だけ「踏み倒」されたことになる) 30年後、100年後に額面どおりの償還が行われる保証がない(30年後、100年後の米国が踏み倒しをすることは絶対にないと信じられるか?)
要は、長期債へのスワップは「お化粧をした踏み倒し」に化けるリスクがじゅうぶんあるということだ。
日本を待つもの
以上のようにマールアラーゴ合意なる提案はトンデモすぎて、「正気か?」と問いたくなる代物だ。
本気でこれを推進したらドル安には、なるかもしれない。世界で最も安全で換金もしやすいと信じられてきた米国債の信用が崩れて市場で米国債が投げ売りされるといったかたちで。たぶん「米ドル覇権」の終わりの始まりになる。冒頭に掲げたクォリティ・メデイアの累次報道の中にも、通貨マフィアなどから「とんでもないアイデアだ」とする評論が出ている。
しかし、発案者が閣僚級ポストに抜擢された事実、米英のクォリティ・メディアがこの一、二ヶ月何度も取り上げている(「スルー」してない)事実は重い。