今回のこの交流は、単にスポーツ面の交流にとどまらず、文化交流、地域交流、経済交流など多岐にわたる分野での相互理解と協力関係構築を目指すものだ。巨人のプロジェクトを視察したことで、日本のスポーツクラブが地域社会と連携し、地域活性化にも貢献していることを学んだはずだ。


RB大宮アルディージャ 写真:Getty Images 

単一の競技にこだわっている時代ではない

これとは逆に昨年12月、プロ野球、横浜DeNAベイスターズのスカウト4人が、スカウティングに関する意見交換を目的に欧州サッカークラブの視察を行った。具体的な視察先や視察の内容は明かされなかったが、日本シリーズを制し38年ぶりの日本一となった直後とあって、成績に浮かれることなく新たな取り組みに臨む姿勢は、野球界のみならず他のスポーツ界からも注目された。

スポーツビジネスの世界はもはや単一の競技にこだわっている時代ではない。J2大宮アルディージャを買収したレッドブルグループは、ドイツ(RBライプツィヒ)、オーストリア(レッドブル・ザルツブルグ)、米国(ニューヨーク・レッドブルズ)など世界中でサッカークラブを保有している上、F1、アイスホッケーにも進出し、マルチオーナーシステムのメリットを最大限に活用している。

保有する各クラブに経営ノウハウをフィードバックさせている上、本業である「レッドブル」(1987年発売)は、1984年創業からわずか30年足らずで「世界で最も飲まれているエナジードリンク」となった。

ベティスが今回訪問した巨人は、他球団との比較から推定される売上高は年間約250億円と言われている(正確な売上高の公開はしていない)。当然ながら日本国内のスポーツクラブの中では他を圧倒する数字だが、これをユーロ換算すれば約1億5,400万ユーロで欧州5大リーグの中堅クラブ程度だ。ベティスからすれば、“身の丈に合った視察先”という見方もできる。