東京ジャイアンツタウンの山本裕臣ゼネラルディレクターから説明を受けた国際事業責任者のイグナシオ・ピニージャ・カスタニェダ氏と広報担当のイグナシオ・ボレゴ・ロペス氏は「これまで見た施設でもトップクラス。若い選手の育成に力を入れていることが理解できた」とコメントした。
この視察によって、最先端のスポーツエンタテインメント施設の設計や運営ノウハウを学び、自クラブの新練習施設の計画に生かす試みがなされたと思われる。また、巨人が持つ強力なファンベースや試合以外のエンタメ要素を取り入れた施設運営から、観客体験の向上に関するインスピレーションを得た側面もある。さらには、若手育成の面において定評のある巨人を参考に、トップチームに選手を送り出すプロセスに注目した点もあるだろう。
ベティスの国際化プロジェクト「ベティス・ウィーク」は、ラ・リーガから2024年の最優秀国際アクティベーションとして表彰された。こうした背景を考えると、スポーツクラブ間の交流を通じて施設運営、ファンとの関係構築、持続可能な取り組みといった多角的な視点での学びが目的だったと解釈できる。
また、ベティスの試みは決して一方通行ではなく、この期間中、日本のマンガ学校の生徒やプロのアーティストを対象としたマンガコンテストを開催。参加者はベティスをテーマにしたマンガの表紙を制作し、優勝者にはトップチーム選手のサイン入りユニフォームが贈られた上で、優勝作品はベティスの公式サイトで紹介され、エスタディオ・ベニート・ビジャマリンでも展示されるという。
さらにベティスは、岸本斉史氏による人気マンガ『NARUTO―ナルト―』との特別コラボユニフォームを発表し、合計845着を限定販売。しかし、あくまでスペイン国内に向けてのもので、日本での発売は行われなかった。
ベティスが国際部門を派遣した背景には世界的なネットワークを強化し、日本での知名度向上やビジネスチャンスを模索する狙いがあった半面、積極的に日本文化を紹介することで、地元サポーターに向けてクラブがグローバル化していることのアピールとも推測できる。