「ただ、皆さんも試合をご覧になって分かる通り、本来反則と判定しなければならない事象に笛が吹かれなかった場面が、残念ながらあります。これに関しては、今シーズンからいきなりファウルの笛を吹かなくなったわけではなく、今までもあったと思うんです。先日もプロフェッショナルレフェリーのキャンプがあったなかで、反則にあたるプレーには笛を吹きましょう。プレーを続けさせるのであれば、アドバンテージのシグナルをしっかり示しましょう。そして反則でないものに笛を吹かない。その見極めをしっかりしましょうとレフェリーには伝えています」

額面通りに受け取れる?
この扇谷氏の発言を、Jリーグの選手や監督、そしてサポーターに至るまで、額面通りに受け取る人はどれだけいるだろうか。ましてや扇谷氏は現役審判員時代、数々の誤審でサポーターから不興を買っていた。
2023シーズンには既に審判委員長の任にあった同氏は、同年5月14日のJ1第13節鹿島アントラーズ対名古屋グランパス(国立競技場/2-0)で、鹿島のFW鈴木優磨がゴール後に木村博之主審を睨み付けたと一方的に決め付けたことがある。
その後のレフェリーブリーフィングで俎上に挙げ「非常に大きな問題。ああいうことがピッチ上で行われてはいけない。あれを相手選手やサポーターにやったら大乱闘になる。レフェリーがしっかり対応しないといけない」と、異例のコメントを発表。
これに対し鹿島は「レフェリーブリーフィングでは審判員の特定が避けられている中で、この件については選手名が特定された」と問題視し、委員会に抗議文を提出するまでに至っている。

責任の所在がうやむやに
今2025シーズンのJリーグはプレー強度を欧州並みに向上させることとAPTの増加を目指し、そのために明白なファウルが流されているという声がサポーターのみならず、実況アナからも疑問を呈する声が上がっていた。