この金利というシグナルを、誤って解釈したり無視したりすることで、深刻な経済の歪みや不正投資が生じる可能性がある。

1. 金利の性質~「時間選好とは?」

オーストリア経済学の視点では、金利は、個人の「時間選好」の相互作用から自然に発生する。

「時間選好」とは、「将来のもの」よりも「現在のもの」を好む度合い、である。

「時間選好が低い」と、消費を先延ばしにして、将来のために貯蓄する。 「時間選好が高い」と、貯蓄よりも、現在の消費を優先する。

金利によって、自由市場における「貯蓄(つまり消費の先送り)という供給」と、「資本投資に対する需要」との均衡が維持される。

この均衡が維持されることで、資源は現在と未来の時間の全体にわたって効果的に配分され、財の生産量と人々の需要量が一致する。

人々が貯蓄を増やすと金利は低下し、長期プロジェクトへの投資が促進される。一方、人々がすぐに消費したければ(※貯蓄が少なくなるので)、金利は上昇し、企業はすぐに消費される商品の生産に集中するようになる。

※上記については、現在の社会の仕組みとは違うので、理解しにくいかもしれません。つまり、オーストリア学派は、本来の「金利」は、人々の時間選好によって自然発生的に決まるものと考えますが、現在社会は実際には、金利は「政府が決定するもの(政府が決定に多大な影響力を持つ)」となっています。そのため、金利が高いと貯蓄のインセンティブがあがる(貯金時の利子がたくさんもらえる)、と真逆になっています。ここはややこしいので、またどこかで改めて書きたいです。

2. 中央銀行の介入と経済の歪み

フリードリヒ・ハイエクやルートヴィヒ・フォン・ミーゼスなどのオーストリア学派によれば、こうした金利の自然な調整は、中央銀行が人為的に低い金利を設定することによって歪められる。中央銀行は、実際の市場の相互作用によって設定される水準よりも低い金利を維持することによって、本来は実行不可能な長期的・資本集約的なプロジェクトにおいて、過剰な借入と投資を刺激する。