この変化はスペイン語をインポートすることなく、チネマ語の色の概念が変化したことを示しています。

以上の結果は、第二外国語であるスペイン語を学ぶことで、チネマ族の人々の色彩認識に大きな変化が起きたことを示唆します。

研究者たちは、「シャンディ」と「ユシュヌス」の変化した使用法がチネマ族の間に広がれば、チネマ語しか話さないひとの間でもやがて青と緑を分類し始める可能性があると述べています。

つまり外国語との接触が、外国語を学んでいない人々の色認識についても影響を及ぼす可能性があるのです。

もしかしたら私たちの話す日本語も、外国語との接触によって、目に見えない概念の変化を無数に起こしているのかもしれません。

研究者たちは今後、時間など色以外の概念についても、チネマ語話者にどのように拡散していくかを調べていきたいと述べています。

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参考文献

How “blue” and “green” appeared in a language that didn’t have words for them
https://news.mit.edu/2023/how-blue-and-green-appeared-language-1102

元論文

Concepts Are Restructured During Language Contact: The Birth of Blue and Other Color Concepts in Tsimane’-Spanish Bilinguals
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09567976231199742

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。