このときの重力派はやってきた方向が特定されており、ブラックホールや中性子星などの高密度天体の衝突によって生じたものと考えられています。

しかし重力波には宇宙マイクロ波背景放射(CMB)に似た「背景のハム音」と呼ばれる別の種類の重力波が存在すると考えられています。

(※「背景のハム音」とは、宇宙の背景に常に存在する、低レベルで持続的な重力波の信号を指しています。)

2021年6月、北米ナノヘルツ重力波観測所(NANOGrav)の天文学者たちは、この「重力波の背景ハム音」を実際に検出することに成功します。

一部の研究者は、この信号が巨大なブラックホールの衝突から来ていると考えていますが、宇宙の初期に起こった相転移からの信号である可能性もありました。

そこで今回、研究者たちが検出された重力波背景ハム音を分析したところ、驚くべきことに、暗黒物質による2度目のビッグバン「暗黒ビッグバン」が起きた場合と合致する結果になりました。

現在、重力波信号をより詳細に検出する試みが進行中であり、欧州宇宙機関のレーザー干渉計宇宙アンテナも2037 年に打ち上げられる予定です。

編隊を組んで飛行する3機の宇宙船の間にレーザービームを送り、重力波を精緻に測定するのです。