エジプトのピラミッドといえば、王や貴族など、特権階級の人々が埋葬される場所だと考えられてきた。しかし、最近の研究で、これまでの常識を覆す驚くべき事実が明らかになった。考古学者たちは、ピラミッドの墓から発見された遺骨を詳しく分析し、そこに「一般の労働者」とみられる人々が埋葬されていた可能性を示したのだ。

トンボスで見つかった「働く人々」の骨

 今回の発見があったのは、現代のスーダンに位置する「トンボス」と呼ばれる遺跡だ。この地は、紀元前1500年ごろにエジプトがヌビア地方を征服した後、植民地の拠点として発展した。トンボスには小役人、職人、書記といった比較的地位の低い人々が暮らしていたと考えられている。

 ここで発掘された遺骨を分析したところ、ある興味深い事実が浮かび上がった。骨に残る筋肉や腱の付着痕から、激しい肉体労働をしていた痕跡が確認されたのだ。これは贅沢な暮らしをしていた王族や貴族の骨とは明らかに異なる特徴である。つまり、肉体的に過酷な労働を強いられていた一般の人々も、ピラミッドの墓に埋葬されていた可能性が高い。

常識を覆す発見?ピラミッドに眠る「意外な遺骨」新たな歴史の可能性
(画像=トンボス遺跡の位置 画像は「Daily Mail Online」より,『TOCANA』より 引用)