ロシアの再侵攻を防ぐ抑止を目的とする「保証軍」の展開は、「集団的自衛権」を根拠にした活動をふまえたものであるはずだ。それ以外の枠組みはない。これはいわば日米安全保障条約を根拠にして日本に駐留する「在日米軍」に近い存在になるはずだ。イギリスとフランスは、必死にこれを「平和維持軍」と取り繕おうとしている。しかし無理だ。
国連平和維持活動は、国連安全保障理事会決議を根拠にして展開するものだ。ロシアが中国の平和維持活動への参加は歓迎だと言ったり、インドも関心があるようだといったりしたことが指摘される場合、想定されているのは、こちらの本物の「平和維持活動」のことである。
なおトルコも関与に関心を持っているとされるが、現在OSCEの事務総長がトルコの元外相であることから、OSCEの枠組みを用いることを当然考えているだろう。OSCE展開の場合にも、国連安保理決議が採択されて、国連平和維持活動の代替あるいは連動した活動として位置づけられる可能性はある。
少子高齢化が著しい日本が、「欧州が世界の中心であり、イギリスとフランスが世界の指導者だ」などと時代錯誤的なこと考えてしまうのは、勝手ではある。しかし世界の現実は、ついてこない。
万が一にも、思い込みや誤解、あるいはウクライナ同情・ロシア糾弾・トランプ侮蔑の感情論で凝り固まっている国内世論に乗っかった形で政策論を進めてしまったら、大変なことになるだろう。
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