私は、そもそもTMT業界の企業がほんとうは帳簿に出ているほど儲けていないのに、かなりグレーな会計操作をしてでもどんどん儲けが増加していることにして、ますます株式市場の評価を高め、時価総額を拡大しようとしているのではないかと疑っています。

その証拠は、マグニフィセント7の中で「高額のグラフィクス・プロセシング・ユニット(GPU)がバカ売れで大儲けしている」と自称しているエヌヴィディアと、アップルを除く他の5社がおこなっている設備投資とのあいだに存在するきわめて不明朗な取引にあると信じています。

設備投資をするだけで収益向上?

いわゆる重厚長大型製造業華やかなりし頃は「とにかく巨額資金を調達して最新鋭の機械装置をなるべく大規模に構築した企業が業界トップとなり、規模の経済によって他社のシェアを奪ってますます発展する」という時代でした。

しかし、経済を主導する産業が製造業からサービス業に移り、製造業の中でも軽薄短小型分野のほうがシェアを高めるに連れて、徐々に技術開発の方向性も「より大きく、より重く」から「より小さく、より軽く」に変わり、省資源化、省エネルギー化、省労働力化を目指すようになりました。

そうした時代風潮の変化を読み取れず、ほんの少し演算能力を高めるためにメインフレームコンピューターの際限のない大型化に猪突猛進したIBMのコンピューター製造業界内での地位は、驚くほど短期間のうちに急低下しました。

ハイテク企業は超大手であっても、あまり大きな設備投資を必要としないことが、他産業に対する優位のひとつともなっていたのです。ほぼ唯一の例外は、1999~2000年の当時ハイテク大手を形成していた各社の設備投資急拡大で、惨憺たる失敗に終りました。

「世の中の通信需要の大半がインターネット経由に移行することによる通信量の拡大は莫大になる」という予測は正しかったことを歴史が証明しています。