2016年の大統領選に勝ったばかりの頃のトランプは、本気で「ワシントンの沼地を干上がらせて、悪徳政治家たちを全部たたき出してやる」と思っていたかもしれません。でも中間選挙の年だった2018年にはもう、腐敗堕落した政治家たちに完全に篭絡されていました。

その証拠が次の年表の中の赤枠で囲った項目に出てきます。

国防総省の貸借対照表がまったくでたらめで、とっくの昔に連邦議会議員、高級将校、高等文官、ロビイスト、軍需産業大手の経営者などの懐に入ってしまったカネについて「どこにどういうかたちで残っているかわからないが、まだ国防総省の管轄下に存在している」ということにされた行方不明の資産が数兆ドルにのぼるという責任逃れが堂々と罷り通っていました。

この問題を徹底的に追及すれば、贈収賄が合法化された社会ではいかに大勢の政治家、官僚、軍人たちが腐敗しきっているかが白日のもとにさらけ出されていたはずです。

でもトランプは「軍事機密のように国家の存亡にかかわる重要事項については、予算項目の振り替えや偽造も許容する」という会計規則の改悪を大統領令で指示してしまったのです。

第2次トランプ政権が党利党略で民主党や共和党内反トランプ派議員のカネにまつわるスキャンダルを暴いて人気取りをすることはあっても、贈収賄が合法化された社会そのものを変革する気などさらさらないことは明白です。

結局のところ、マグニフィセント7の今後は以下のとおりとなる可能性が高いと思います。

アップル、マイクロソフト、メタは基盤技術の老朽化によって徐々に衰退する。 アマゾン、アルファベットはそれぞれ蓄積してきた地理情報の独自性によって軍需企業として延命する。 エヌヴィディア、テスラは破綻する。

「マグニフィセント7を人民裁判にかけて軒並み廃業に追い込んでくれる政治勢力が出現しないものか」という願望が実現する可能性は、アメリカの政治風土を考えるとかなり低いでしょう。