そして、ペンタゴンからのクラウド事業発注のうち好収益のものはアマゾンに集中し、マイクロソフトへの発注は低収益にとどまったのは、アマゾンだけがクラウドと抱き合わせで提供できるラスト1マイル情報のお陰でしょう。

実際のところ、2024年にアメリカの軍需産業で時価総額がいちばん高くなったのは、ロッキード・マーティンでも、RTX(旧レイセオン)でも、ボーイングでもなく、イスラエル軍の暗殺対象優先順位作成アプリ、ラヴェンダーの開発に全面協力したパランティアでした。

遠からぬ将来、アメリカの3大軍需企業はパランティア、アマゾン、アルファベットの3社となっていることでしょう。そして、民主党、共和党、ペンタゴンは超党派でこの3社の存続を守ろうとするはずです。

テスラも危ない

テスラの営業・フリーキャッシュフローと株価推移のグラフで最大の特徴は、営業キャッシュフローにしてもフリーキャッシュフローにしても水準があまりにも低いことです。しかも 自社もEVを買う消費者もたっぷり政府から補助金をもらっていてこのていたらくなのです。

長いフリーキャッシュフローマイナス期間も、アマゾンのジェフ・ベゾスのように悪党なりの深慮遠謀があってやったことではなく、まだ本業の収益性さえ確保できていないうちに、おもしろそうなことがあればなんにでも手を出す経営者失格と断定すべき性癖からやってしまったことなのでしょう。

宇宙開発のスペースXにしても、直立二足歩行型ロボット、オプティマスにしてもあまりにもエネルギー効率や安全性を無視した無理筋のプロジェクトが多すぎます。

政府からの補助金が廃止されれば、テスラはまっ先に破綻するタイプの企業でしょう。そのときまでトランプの忠実な腰巾着として働きつづけていれば、なんとか救済してもらえるだろうという思惑で株価は上がりました。

ですが、トランプとしては民主党リベラル派政治家たちの腐敗を暴き出すのにちょうどいい手駒としてイーロン・マスクを使っているだけで、用さえ済めば捨てて惜しくない人間でしょう。

沼地の悪漢を一掃する?