切れ目を入れて複数のピースができあがっても、面積は当然変わらないため、三角形と正方形が同じ面積なら理屈の上では再配置可能だという期待があります。

しかし、「いったい何枚のピースに切ればスムーズに正方形を作れるのか」「複雑すぎるピース形状にならないか」という問題は常に付きまといます。

実際、適当に切っていっても正方形を作れるかもしれませんが、そのような場合は大抵、ピース数が多くなりすぎてしまいます。

ここで「なるべく少ないピース」「重ならないように正方形を形成」という課題が浮上し、それこそがこのパズルの核心的な難しさです。

「特定の解が最小である」と証明するためには、それより少ないピース数では決して正方形を作れないことをすべてのケースで示さなくてはなりません。

ピースの形状や配置は理論上無限に近いほど多様化できるため、単に面積が一致するからといって安易に確定できない点が、この問題を非常に難しくしています。

研究者たちはどのようにこの問題に立ち向かったのでしょうか?

120年目の衝撃証明:正三角形パズルに終止符を打った日本の研究

日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明
日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明 / FIG6は、正三角形と正方形に分割された各ピースの「辺同士のつながり」を示すグラフです。 各ピースの辺がどのように切断され、どの辺が互いに対応しているかを線で結んでおり、ピース同士がどう組み合わされるかを視覚的に把握できます。 これは、パズルのピースが正確に並べ替えられるためには、どの辺がどの辺と合致する必要があるかを明確にするための「設計図」のような役割を果たします。FIG7は、各ピースの「角(頂点)」同士の関係を示すグラフです。 つまり、各ピースの角が正三角形と正方形のどこに位置するのか、またどの角が互いに一致する必要があるのかを点と線で表現しています。 このグラフは、ピース同士を正確に並べたときに、どの角がしっかりと合致して全体の形を作るかを確認するための、もう一つの重要な設計図となっています。/Credit:Erik D. Demaine et al . arXiv (2024)