ダブルボランチの一角として出場した岩田は、アンカーのポジションで攻守の間をテンポよく繋いでいく。岩田が正確なパスでサイドチェンジをするとサポーターが一斉に拍手で日本人MFのプレーを讃えることからも、目の肥えた現地ファンは岩田のクオリティを高く評価していることが一目瞭然で分かる。
試合はバーミンガムがボールを支配するも、引いて守るリンカーンに対してゴールを割れない。後半に入り、サイド攻撃から中央へのこぼれ球に反応した岩田を相手DFがペナルティエリア内でファールをし、PKを獲得。これが決勝点となりバーミンガムが1-0で勝利した。
岩田が「サイド攻撃の際、中央でこぼれ球を拾って欲しいとは入れているので良い場所にいられてよかった」と振り返るように、今季の岩田は守備の合間に攻撃参加をし、2列目、3列目の動きで攻撃を活性化している。

狙うは大分トリニータ時代の“再現”
かつてはフィジカルの強さやロングボールの多用が特徴とされてきたイングランドのフットボールだが、現在の2部のチャンピオンシップにはパスをつなぐサッカーをするチームが多く、足元の技術が高い選手が多く揃っている。しかし3部のリーグワンになると、選手の技術よりもスピードとパワーを重視するチームが多い。
フィジカル重視のチームが多い中、バーミンガムはしっかりとビルドアップをしてパスで崩すサッカーを一貫して戦術にしている。
岩田:今のチームには(クリス・デイビス)監督の軸があるので、そこがブレないのは強さです。監督の求めているサッカーは表現できていると思いますけど、もっと求められているので。プレッシャーを受けても簡単にボールは蹴らないですし、これくらいのレベルのプレーはプレミアを目指す上で当たり前にやっていかないといけない。ポゼッションサッカーが云々というよりも、監督に芯があるのは選手として心強いし、そんなチームはどんな状況でも強い。その点があの頃と似ていると感じます。