そして1200人以上の人々から個々の人生物語を集め、この英雄の旅スケールを用いてそれらを分析しました。
結果、興味深い事実が明らかになりました。
人生の物語に英雄の旅の要素が多く含まれている人ほど、人生に意味を見出し、自分が良い人生を送っていると感じる傾向が高いことが分かりました。
また、このような人々はうつ病の症状が低いとも報告されています。
つまり、自己認識に使われる物語の中に「英雄の旅」の要素が多いほど、人々は自分の人生に対して満足度が高いと感じているのです。
さらに、英雄の旅の要素が多い人々は、自分の人生で起こったさまざまな出来事を、自分にとって意味深いものとして組み立てる能力に長けていることも示唆されています。
そこで研究者たちは、人々が自分の人生を新しい視点から見ることを助けるために、「修正介入法」という新しい手法を開発しました。
人生の記憶を英雄の7要素に置き換えて繋げる

この方法の目的は、人々が自分の人生を英雄の物語として再解釈することで、人生に対する満足度を向上させることです。
この「修正介入法」では、被験者に対して、自分の人生に関する特定の質問がされます。
たとえば、「あなたが現在の自分になるまでの旅の切欠となった、経験がありましたか?」というような質問です。
この質問によって、被験者は自分の人生での重要な出来事や変化点を振り返ります。
そしてこの質問の答えは「今日の私になるまでの私の旅は、…の結果として始まりました」といった形で、いかにも物語らしい形で再変換されます。
ここでのポイントは、自分の人生を物語のように捉え直し、それを英雄の旅の観点から再解釈することです。
英雄の物語の視点を採用することは、人生の障害物や困難な状況を異なる角度から見るのに役立ちます。
例えば最近、人生で非常に厳しい時期(失業や健康問題)を経験したとしましょう。