自分率100%の英雄物語を作りましょう。
米国のノースカロライナ大学(UNC)で行われた研究によれば、自分の人生を英雄の物語に落とし込むプロトコル(手順)が開発されました。
研究では、自分の人生を英雄物語に組み込んで再解釈することで、被験者たちは課題に立ち向かう姿勢が強化されると同時に、人生に意味を感じるようになり、より深い幸福度につながることが判明しました。
さらに人生の再解釈は脳機能にも重大な影響を引き起こし、一見してランダムに見えるように細工された文字列から、隠された単語や文章を探し出す能力が有意に高くなるなど、認知機能の強化と思える現象がみられました。
英雄の物語にはいったいどんな秘密が隠されているのでしょうか?
今回はまず英雄の物語の構造が特定のテンプレートに従っていることを解説し、次ページではテンプレートが好まれる理由について説明します。
そして最後のページでは英雄の物語が持つテンプレートを私たちの人生に当てはめる効果について紹介したいと思います。
この研究は2023年10月に『Journal of Personality and Social Psychology』にて「自分の人生の物語を英雄の旅として見ると、人生の意味が高まる(Seeing your life story as a Hero’s Journey increases meaning in life)」とのタイトルで掲載されました。
目次
- 物語は数千年間も同じテンプレを使いまわしている
- 数千年もテンプレが使いまわされている理由
- 自分の人生を英雄の旅に置き換える
物語は数千年間も同じテンプレを使いまわしている
古代神話から現在のヒット作まで英雄の物語は変らない

人類の物語は、古代の神話から現代の大ヒット映画に至るまで、一つの普遍的なパターンを辿っています。
このパターンは「英雄の旅」と呼ばれ、1949年に神話学者ジョセフ・キャンベルの著書『千の顔を持つ英雄』によって初めて広く紹介されました。