そして、ナポレオンも、ヒトラーも、攻め込んでは惨敗することになったロシア(ソ連)という大国に、自力で戦争をする力もないウクライナをけしけた結果、案の定、出口を失っている。
ヨーロッパに漂う不穏な軍国化の兆候
いずれにせよ、数々の失敗のせいで、ヨーロッパは今、急速に国際舞台での影響力を失ってしまった。一方、接触することさえ忌避していた悪党プーチン大統領は、EUの外の世界では、今なお大国の首脳として健全だ。それどころか、EUにとっての重要な同盟国であるはずの米国が、そのプーチン大統領と対話を始めようとしている。
そして、これまでオバマ大統領やバイデン大統領の周りで踊り続けたEUは、この変化に付いていけず、今や米国までを敵に回しかけている。危険な兆候である。
今月4日、緊急に招集されたEUの理事会では、フォン・デア・ライエン欧州委員長が、米国がNATOを離れるという仮説を示し、ヨーロッパの防衛強化という名目で、8000億ユーロを共同で借り入れることを提案した(ただ、ハンガリーが反対したため、3月7日現在、合意に至っていない)。
私の最大の懸念は、世界での影響力を取り戻したいヨーロッパが、突然、軍国主義の方向に舵を切ることだ。ここ10年以上、国防を疎かにしてきたドイツでも軍事費の大幅な増額がすでに視野に入っており、徴兵制の復活が囁かれ始めた。EV化に乗り遅れて衰退したドイツの自動車産業が、大手を振って軍用車を作り始める可能性は大いにある。もちろん堂々とガソリン車を。
世界は動いている。日本も、国内のちまちました問題に気を取られている暇はない。アンテナを高くする必要がある。