しかし、ゼレンスキー氏は、最初から何か勘違いをしていたらしく、ロシアから帰還した捕虜の写真を何枚もトランプ氏に見せたり、プーチン大統領に対する罵倒を繰り返したりした。トランプ氏は明らかに不快に思っている様子だったが、しかし、それを口には出すことはなく、私は、氏の忍耐に少なからず感心した。
ただ、その後もゼレンスキー氏の場違いな態度は続き、停戦に際してウクライナの安全を保証するよう要求した。しかし、ウクライナの安全を保証した人物が、中立な立場でロシアと交渉をすることができるはずもなく、トランプ氏はその要求を拒否。ディールで戦争を終結させることが先決だと主張した。するとゼレンスキー氏は、全ヨーロッパが自分の味方であるかのように仄めかし、高飛車な態度に出始めた。

ホワイトハウスSNSより
なぜ、こんなことになったか? おそらく、ここ数年、世界のあちこちの議会や国際会議に招かれ、悲劇の英雄ばりの演説で喝采を浴びていたゼレンスキー氏は、トランプ大統領の執務室でも、それと同じことが通用すると思ったに違いない。
すると、ずっと黙って会話を聞いていたヴァンス副大統領が、ついに堪えきれずに割り込んだ。「大統領、あなたの態度は失礼だ。あなたはこの紛争を終わらせようと努力しているトランプ大統領に感謝すべきだ」と。これにより、40分間穏やかに進んだ会談が爆発。果てはゼレンスキー氏がヴァンス氏に、「ウクライナに来たことはあるのか?」と食ってかかる事態となった。
ただ、こうなるとゼレンスキー氏にチャンスはない。トランプ大統領が、「米国の軍事援助がなければ、戦争は2週間で終わっていた」と引導を渡すと、ゼレンスキー氏は瞬く間に裸の王様となってしまった。
そして、その後、世界中に拡散されたのは、ほぼこの10分間の激しい口論シーンだけだ。最後にゼレンスキー氏に向かって、「あなたは第3次世界大戦の危険を弄んでいる」、「停戦したくないなら我々は手を引く」と宣言したトランプ氏の姿は、米国とウクライナの実力の差を、世界中にまざまざと見せつけた。