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イーロン・マスク氏曰く、「ヨーロッパは、ウクライナ戦争が永遠に続くことを願っている」。
確かに、トランプ米大統領がウクライナ戦争の終結に尽力していることを、ヨーロッパは歓迎していない。それどころか、デンマークのフレデリクセン首相は、「ウクライナの平和は、戦争継続よりも危険」と発言。その理由は、ウクライナ戦争を止めれば、ロシアが他の国を攻撃するかもしれないからだそうだ。ウクライナはロシアの攻撃を防ぐ盾なのか?
ハンガリー・オルバン首相の和平外交とEUの反発
ウクライナ和平を試みた最初の首脳はトランプ大統領ではない。ハンガリーのオルバン首相も、EUの欧州理事会の理事長国になった昨年の7月、すぐにキエフに飛んでゼレンスキー大統領に会い、その3日後にはモスクワにプーチン大統領を訪問、さらにその3日後には北京で習近平と会談した。それどころかすでに5月にはフロリダで、大統領選の前のトランプ氏とも話し合っていた。
オルバン首相は自らの行動を「平和を取り戻すためのミッション」と呼び、「米国とNATOと中国がその気になれば、ウクライナ戦争は必ず終わる」と断言。
ところが当時、この和平の試みに抵抗し、激しいオルバン・バッシングを展開したのがEUの欧州委員会。特にフォン・デア・ライエン委員長は、オルバン首相はEUの結束を見出す裏切り者と言わんばかりの不機嫌さだった。しかし、だからと言ってEUには、和平交渉に乗り出そうという首脳はいなかった。
その後、トランプ氏が米国大統領に就任し、いろいろなことが矢継ぎ早に進み始めた。先月28日にはウクライナ停戦を決めるため、ゼレンスキー大統領がホワイトハウスに招かれた。
緊迫のトランプ・ゼレンスキー会談
会談は和やかな雰囲気で始まった。トランプ大統領は、自分はロシアの味方でもウクライナの味方でもなく、これ以上の命が失われることを防ぐため、戦闘を終わらせたいのだと言っていた。