東京都心から電車を乗り継いで、2時間足らずで訪れることができる奥多摩。ここが東京都なの?と思うほど大自然に囲まれた場所で、首都圏の水瓶である奥多摩湖や日原鍾乳洞などの観光地があり、多摩川では釣りやバーベキューなどのアウトドアが盛んです。
今回私は、奥多摩むかし道と呼ばれる、奥多摩湖からJR奥多摩駅までの国道沿いに続く道をハイキングしました。奥多摩むかし道は、東京都奥多摩町にある歴史的な散策ルートで、自然の美しさと地域の文化を体験できる場所です。この道は、古くから人々が利用してきた歴史的な街道で、現在ではハイキングや散策を楽しむ観光客に人気のスポットになっています。
この奥多摩むかし道で、私の印象に残ったスポットを紹介します。
目次
断層面が迫る白髭神社
今も残る地域信仰 耳神様
街道のアオシス 境の清泉
鉄道遺構に歴史を感じる
無人販売所での地元民とのふれあい
自然に囲まれたカフェ&レストランSAKAでいただくランチ
まとめ
断層面が迫る白髭神社

多摩川の河岸段丘上にある白髭神社には、むかし道の脇の階段を登っていきます。
この白髭神社の特徴は、境内にある石灰岩の絶壁で、約30メートルの高さと40メートルの横幅を持つ断層面には擦痕が一面に見られます。この規模の断層が大きく露出しているのは稀で、学術的にも重要視されています。白髭神社はこの岩壁が御神体と考えられていたと推測されており、岩壁は天然記念物にも指定されています。

それにしても、この斜めに神社へ倒れ掛かろうとしている岩壁は圧巻です。神社へ続く階段を登り切った瞬間、視界いっぱいにその壮大さが迫ってきます。私の中ではイチオシの場所です。

<石灰岩がむき出しになった岩壁>
今も残る地域信仰 耳神様

奥多摩むかし道の途中には、岩が壁のようにむき出しになり、しめ縄の内側に大小の石がある所があります。この場所は「耳神様」と呼ばれ、耳に病気を持つ人々が穴の空いた小石を見つけて供え、ご利益を一心に祈った所だそうです。
日本には八百万(やおろず)の神様がいると言われています。これは、日本の神道における神々の総称で、自然界のあらゆるものに神が宿るという信仰に基づいています。一方、キリスト教やイスラム教では、神様は一つしかいないと言われています。
私が小さい頃、祖母から便所にも草花にも道端の石ころにも神様がいるから粗末にしてはいけないと教わりましたが、日本人の「もったいない」という心を大切にする姿勢は、こうした教えから来ているのかもしれないと感じています。