春めいてくると同時に、目のかゆみや鼻水、だるさなど花粉症の症状に悩まされるという方は多いはず。花粉症の有病率はなんと42.5%にも上るという調査結果(環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」より)からもわかるように、今や花粉症はれっきとした国民病ともいえます。
そんな多くの日本人の悩みにアプローチする、「My Relief(マイ・リリーフ)」というプログラムをご存じですか。約4分間、スマホ画面に触れることで花粉症などのアレルギー症状を軽減してくれるというものです。
このプログラムを生み出したトレンドマイクロ株式会社の創始者、スティーブ・チャン氏自身も、花粉症の症状に悩まされていました。
今回は、社会貢献活動を行うNPOを支援する財団「非営利財団ミンイー」を創立し、NPO法人ミンイーを通じて社会貢献を目指すスティーブ氏にインタビュー。「My Relief」開発の経緯や今後の展望についてお聞きしました。
株主総会で涙!?スティーブ氏自身も悩まされた花粉症

——スティーブ氏がNPO法人ミンイーを通じて花粉症やアレルギーの課題に取り組むに至った経緯を教えてください。
私は20年前の2005年、トレンドマイクロ株式会社のCEOを退任し、経営から退いたのですが、その際に「今後は利益を求めるビジネスをしない」ことを決め、NPOがそもそもどのようなものか、NPO団体を創設することでできることなどを考え始めました。
これまでも、ベトナムで植樹活動を行うなどさまざまな活動を行ってきましたが、今回のようなアレルギーや花粉症に関する活動をしたいと思い至ったのは7年前です。台湾で、「経絡」を流れる 「気」(エネルギー)の流れを整えることで症状を軽減する、という東洋医学からアレルギーにアプローチする方法を知り、これを花粉症やアレルギーに悩む多くの方に体験してほしいと感じたことがきっかけです。
——スティーブ氏自身も、花粉症やアレルギーに悩まされていたのでしょうか?
私自身も、ひどい花粉症に悩まされていました。トレンドマイクロ時代、3月の年度末に開催される株主総会の時期はとくに症状がひどく、秘書が毎回2箱もティッシュを用意してくれていたほどです。何度も目を瞬かせたり、涙を流したり、株主総会でそんな表情をしていたら株主の方々は「トレンドマイクロはどうなってしまうんだ」と不安になってしまいますよね(笑)
アメリカや日本など、さまざまな国で治療をしたのですが、なかなか症状は改善されませんでした。毎回、「アレルギーは免疫の異常反応だから、治療が難しい」ということを言われてしまうんですよね。
症状がつらい上に症状が改善されない、このつらさを多くの方が抱えています。自分が花粉症のつらさに共感できるからこそ、一人でも多くの方がこの苦しみから解放されればと考えたことも、ミンイー創設や「My Relief」の開発に着手する大きな要因になりました。