もちろん、この研究は主にベルギーとオランダを舞台としたものですので、世界のすべての地域に同じパターンが当てはまるわけではありません。

たとえば、近代的なコントラセプション(避妊)の普及度合いが異なる社会や、複数のパートナーを容認する文化を持つ社会などでは、托卵率がまた変わってくる可能性があります。

とはいえ、「婚姻関係の内実」は人類の性行動の根幹を知るうえで非常に重要です。

こうした大規模な遺伝子系譜研究は、国や文化を越えて比較を行う余地がまだまだ大きく、今後の研究次第では、私たちが普段あまり意識してこなかった人間関係のあり方や、社会構造の特質がさらに明らかになるかもしれません。

また、この研究だけでは、それぞれの母親の意図や夫側の認知度を完全に把握できたわけではないため、今後はそうした視点を含めたさらなる調査が期待されます。

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元論文

A Historical-Genetic Reconstruction of Human Extra-Pair Paternity
https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.09.075

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部