この制度があることで、「金持ちも貧乏人も」ほぼ同じ医療が受けられる…という日本社会の安心感に繋がっている重要な制度というわけです。
その「上限額」が、段階的に引き上げられる見通しで、NHKの試算によると以下のような額になります。
これ、今年8月ぐらいのとりあえずの上昇幅だと「まあこれぐらいならなんとか」って感じもしないでもないんですが…(というかもともと結構負担感が大きい額だったので、この程度上がったから命に関わる治療を諦めるかというと…という感じではある)

NHKの試算
2027年8月から予定されてる最終的な今回の引き上げの上限値になると、結構「うげっ」って思う感じになります。
特にこれ、低所得者層で大変なのは言うまでもないことですが、年収一千万強で家族がいる現役世帯で「月30万」っていうのは結構たいへんな額ですよね。
2. なぜ高額療養費制度が重要なのか?
先日、私の新刊のプロモーションの一環で、YoutubeチャンネルのPIVOTの収録をしてきたんですが(既に公開されてます)、その中で、この高額療養費制度の話が出たんですよね。(医療費の話は後編のこの部分から)
結構突然この話になったんでちょっとグダグダ気味にですが、そこで私はだいたい以下のような話をしたんですよ。
金持ちと貧乏人であまりに寿命に差がつかないように高額医療費制度はなんとか残して、それ以外の日常レベルでの利便性みたいな部分で多少我慢してもらう方向がいい
日本の医療制度改革はできる限りこういう方向↑で行った方がいいはずですよね。
しかし現実では、
・その「多くの人の日常レベルでの利便性を少し諦めてもらう」の政治的コストは大きい ・ごく一部の患者しか該当しない高額医療費制度の改悪は政治的コストが小さい
ために、よほどの政治的工夫を真剣に積まない限り、
一部の人(特に現役世代)が本当に命に関わる病気をした時に治療を諦めちゃう方向で高額医療費制度が改悪され、一方で「普通の人のちょっとした利便性」みたいな部分で、削れるかもしれないコストは放置され続ける