2025年1月後半からDOGEの運営が実際に始まると、その動きを人々が目にするようになってきた。最初にDOGEが取り組んだのは1月末からのUSAID(UnitedStates Agency for International Development、米国際開発庁)への攻撃であり、多くが正体不明の若者エンジニアと推測されるチームがUSAIDの機密情報にアクセスして「不正や腐敗」の証拠を探した。
結局、不正や腐敗は見つからなかったわけであるが、それでも第二次トランプ政権は海外援助を90日間停止する大統領令に署名するなど、USAIDの事業を縮小する方向性を先に決めていたため、USAIDの全世界で1万人以上の職員を290人に削減すると決定した。
職員削減の動きはすぐに連邦政府全体に波及した。トランプ政権は1/28に連邦政府職員230万人のうちの200万人を対象に2/6を期限に、奨励金(退職後も9/30までに給与支払い)を提示し退職勧奨を発表した。2/6までに全職員の2.5%に当たる6万人がこれを受け入れたと発表され、最終的には7.7万人が応募したとも言われている。
次に法的に身分を保障されておらず解雇を巡るハードルが低い試用期間中(採用から1~2年以内)の職員に照準を定めた。こちらの対象になったのは20万人程度とされている。残りの連邦職員は素早く一方的に解雇するのが困難であるが、トランプ政権は更なる大規模な人員削減を目論んでいる。
逆にこれまでの解雇についても裁判所でその正当性が争われており、龍頭蛇尾に終わる可能性も残る。一旦解雇した職員を呼び戻すケースもあった。
事実として、放漫財政のバイデン政権の下で政府部門の採用は増え続けた。これまでの米国の労働市場の堅調さの一部を絶え間ない政府部門の新規雇用が支えてきたのである。ということは、元に戻すのは少なくとも業務的には問題になると思えず、一部のエコノミストは年末までに50万人超の雇用が失われる可能性を想定する。