実行機能とは、あるタスクを実行するために必要な一連の脳機能を指します。
具体的には「タスクの計画を立てる → タスクを小分けして段取りを考える → その作業をスケジュール通りに進める → 修正点があればチェックし直す → 不必要な感情や欲求は制御する」などです。
しかしADHDの人は実行機能がうまく働かないため、タスクをいくつかの作業プロセスに小分けしたり、計画に沿って物事を進めることが難しくなります。
例えば、友人とお昼の12時に待ち合わせしているシチュエーションを考えてみましょう。
朝8時に起きたとすると、待ち合わせに間に合うように「準備」を始めます。
ところがADHDの人は「準備」というタスクを「朝ごはんを食べる」「シャワーを浴びる」「服を着替える」「タクシーを呼ぶ」といった作業に小分けして、計画することができません。
そのせいで時間の計算を誤り、待ち合わせ時間に遅刻する「時間盲」が起きてしまうのです。

もう1つはドーパミンの機能障害です。
ドーパミンとは神経伝達物質の一つで、集中力や意欲を高める作用があります。
ところがADHDではドーパミンの出方が非常に不安定になっていることが分かっています。
例えば、周囲から強制されるような宿題や作業をするときはドーパミンが出ないので、集中力を欠き、不注意や多動性の症状が出ます。
その一方で、ゲームや読書、テレビの視聴など自分の趣味や好きな作業をするときは、逆にドーパミンが出過ぎて、声をかけても聞こえなかったり、次の作業に移れなくなります。
これが時間感覚の喪失を引き起こしていると考えられるのです。
「時間盲」と上手く付き合うには?
時間盲は仕事にもプライベートにも多大な悪影響を及ぼし、周囲との人間関係だけでなく自尊心までも深く傷つけてしまいます。
しかしADHDの時間盲が、ここまでに述べたような脳の機能障害にあることを考えると、それを根本から治すことはできません。