代表的な強みは、①第一次政権での経験があること、②トリプルレッド(上下両院も共和党が多数)であり、最高裁も保守派が多数で(つまり行政・立法・司法の三権を掌握)、③しかも、共和党内をかなりグリップしている、ということが挙げられる。
特に③については、正直、ヘグゼス氏や、ギャバード氏などの閣僚人事の承認にあたっては、さすがに党内からかなりの反対が出て頓挫するのではないかと思っていたが、驚くほどすんなり承認された。党内にトランプ氏に歯向かえない空気が強く流れていると見るのが妥当であろう。
こうした強みを背景に次々と大統領令を出しては、トランプ流の改革を進めているというのが実態だ。
では、トランプ政権にとってのリスク、死角は何であろうか。
強みの裏返しでもあるが、独断専行が激しいので(リーダーシップを強調しすぎるので)、マネジメントが破綻しかねないということがまず挙げられる。第一次政権の際も、主要閣僚を次々に任命してはクビにするということがあったが、例えば、果たして、自我の強いイーロン・マスク氏と、ずっと蜜月でいられるかは分からない。
また、マスク氏がしゃかりきになって進めている政府効率化が典型だが、連邦予算約7兆ドルのうち約2兆ドルをカットするという大胆な目標をすんなり達成できるとは思えず、ウクライナや中東の停戦も、24時間で解決するはずなのに期限が半年延びたりしているのは御愛嬌としても、解決そのものがそう簡単ではない。つまり、掲げている数々の大胆な公約が守れるのか、ということがある。
最近、米国では、あまりにトランプ氏が掲げている改革の中身の実現が大変であり、1期4年での達成は絶対に無理なので、冗談とも本気ともつかない形で、トランプ氏が2期目を志向しているともささやかれている。
ただ、既に1期務めているトランプ氏は合衆国憲法上次の大統領選には出られないため、トランプJrやバンス副大統領を大統領候補にして、自らは副大統領候補となり、勝利した後に大統領が辞任することで取って代わるという裏技がささやかれている。それほどに、トランプ氏の公約は達成が難しい。