そこで今回研究者たちは
「幸せを追求することが自己コントロールを枯渇させるのではないか?」
と考え、この仮説を検証するために、合計4つの実験が行われました。
【自己報告調査と行動測定(スタディ1 & 2)】
最初の2つの研究(スタディ1・スタディ2)では、参加者が日常的にどの程度「幸せになること」を重視しているかを測定いたしました。
同時に自己コントロールの強さを調べたり、商品購入の場面を想定した選択タスクに費やす時間を計測することで、実際の行動面の指標も得られました。
結果として、幸せを強く求めると回答した人ほど、自己コントロールスコアが低かったり、タスクへの取り組み時間が短かったりする傾向が確認されました。
興味深いことに、こうした関連は単なる一時的な気分(「今日は調子がいい」「今日は調子が悪い」)の影響だけでは説明できないと考えられます。
つまり、根本的に「幸せを意識すること」が自己コントロール資源を消耗させる可能性が示唆されたのです。
【プライミング実験(スタディ3)】
続く3つ目の実験では、参加者を2つのグループに分け、「幸せ」という文言を含む広告を見せ、もう一方のグループには特に幸福を想起させない広告を提示いたしました。
その後、チョコレートの味見テストと称して「好きなだけ食べてよい」と伝え、実際に食べた量を測定いたしました。
その結果、「幸せ」と書かれた広告を見たグループはより多くのチョコレートを口にしたことが確認されました。
つまり、ごく短時間の「幸せ暴露」でも、自己コントロールが弱まり、欲望を抑えにくくなる可能性があると考えられます。
【ゴール比較実験(スタディ4)】
最後の4つ目の実験では、2つの条件を設定いたしました。
1つは「より幸せになれそうな選択」をするよう指示するグループであり、もう1つは「個人的な好み(正確さ)」に基づいた選択をするよう指示するグループでございます。