馬にせよ、ルイ9世の亡骸にせよ、その癒しの効果がどれほどのものだったかはわかりません。

しかしロイヤルタッチの慣習は人々の間で高い人気を誇り、イギリスやフランスを中心に700年以上も続けられました。

ただ中世の神秘時代から近代的な啓蒙時代へと脱却するにつれて、こうした科学的な証拠のない治療は次第に批判されるようになります。

中でもフランスの啓蒙家であったヴォルテール(1694〜1778)などは、ロイヤルタッチの痛いところを巧みに突きました。

彼は「ルイ14世の愛人は毎夜、王の手で散々愛撫されたにも関わらず、頸部リンパ節結核を発症したではないか」と批判したのです。

というわけで、ロイヤルタッチの慣習は徐々に廃れていき、歴史の闇へと消えていきました。

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参考文献

Touching for ‘the King’s evil’: a short history
https://history.rcp.ac.uk/blog/touching-kings-evil-short-history

元論文

The origins and medieval history of the royal touch, 1000–1485
https://doi.org/10.1017/9781782045106.002

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部