冒頭でヴァンスが「我々はバイデンと異なり、外交を重視する」旨を述べたのに対し、ゼレンスキーが「質問していいですか」と口を挟み、プーチンは約束しても破ると主張する。それはいいのだが、ゼレンスキーは今日に至る経緯をこう語る。

彼〔プーチン〕はウクライナの領土の大きな部分、東部とクリミアを2014年に占領しました。……14年には誰も止めてくれませんでした。彼は単に占領し、奪い、人々を殺しました……14年から22年に至るあいだ中、状況は同じでした(during 2014 till 2022, the situations were the same)。境界線では人々が死に続け、誰も彼を止めませんでした。

YouTube の自動書き起こしでは ”became” と出るが、誤記だろう

控えめに言って、これは「盛った話」である。いかに国際法に反するとはいえ、ロシアが突如2014年に国境線を越え、殺戮集団を送り込んできたのではない。同年にキーウで起こったマイダン革命が、ウクライナの国民統合を崩壊させて内戦となり、それに介入したと見るのが正しい(もちろん非合法な介入で、多分に火事場泥棒だったが)。

続く「プーチンと外交はできない」理由の説明も、詳述されるのはゼレンスキーがプーチンと会談した2019年以降に限られ、14-15年に結ばれたミンスク合意は事実上、スキップされている。