そしてこれらと同時並行的に「対話」を促進し成功に導くための土台づくりおよびチーム作りの基礎固めをしていく。

対話のキモは『ソクラテスの産婆術』である。これは、同じ情報に触れて意見交換などするうちに、まだ疑問にすらなり得てない〝モヤモヤ〟が心の中に芽生えてくる。この段階では参加者それぞれにさまざまな様態で〝なにが自分のなかでの関心ごとであるのか、またそのことをどう表現したらいいのかわからない〟というような状態である。これをそれぞれのロゴスに照らしてどのように言葉にして表出するかである・・・。

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対話の当事者は相対するAとBという2人の人間であるが、もちろん3人でも4人でもいい。AとBという2人の対話の場合、〝モヤモヤ〟しているAの表出を手助けするのがBである。これが産みたい(表出したい)がなかなかうまくいかない——そこを手助けする表出の産婆役ということになる。うまくいけば、モヤモヤがするりっと表出したりもする。

次に、AとBの立場を入れ替えて同じことをする。さらに重要なことは、相手が表出したものそしてその背景にあるロゴスを鑑みて、自分自身の意見や立場を再点検してみることである。

こうやってやり取りを重ね、時に深掘りしていくうちに、中学生たちはそれまで思ってもみなかったような考えに遭遇したり、互いの思いの深さに感動したりして、その愉快さが面白くてたまらなくなる。ここに中学生サミットのモットーである〝対話をおもしろおかしく〟が体現されていくのである。

無知な者同士がこのような産婆術を通じて問いを重ねることで新たな知を発見する。そうやって、取り入れるべきものは取り入れて自己のロゴスをアップデートする。

この中学生サミットのなかでは、その他にも様々なコンセプトやスキルを、実践的に身につくように工夫している。