真に奇妙な現象は、観察を行うと同時に起こり始めます。
観察を行った瞬間、縦揺れでも横揺れでもなかった光に変化が起こり、どちらか(図では縦揺れの光)として生まれ変わります。
そして一方(右)が縦揺れの光に生まれ変わったという情報は、2つの光の間を結ぶ見えない関係性の糸を伝ってもう一方(図では左)に瞬時にテレポートしたかのように転送され、左側の光が横揺れの光として再構成されるのです。
「右側の光が縦揺れならば左側の光が横揺れになる」という結果自体は日常の常識と同じです。
しかし「観測することではじめて情報が出現する」という点、そして一方を観測したという情報が瞬時にテレポートして、もう一方の光の特性を再構築するプロセスは、日常の常識とはかけ離れたものです。
さらに、理論的には、右と左の距離が銀河の端と端であっても、右側で観察したという情報は見えない糸を通って一瞬で左側に伝達され、光の再構築が起こります。
正直言って「信じがたい」「嘘くさい」と思う人もいるでしょう。
(※量子もつれと量子テレポーテーションの仕組みの詳しい仕組みについては以下の記事を参考にして下さい)
ノーベル物理学賞「量子もつれ」をわかりやすく解説
しかし人間の直感に反するからと言って、それが嘘であるとは限りません。
量子もつれが発見されてから現在に至るまで無数の実験が行われてきましたが、この直感に反する現象が本当であることを示す結果になりました。
そこで今回、ウィットウォーターズランド大学の研究者たちは、このテレポーテーションの仕組みを使って実際に画像データを転送してみることにしました。
画像情報は傍受不可能なテレポートで転送される
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