そして見えない関係性の糸を通る情報速度は理論上、無限大とされています。
そのため、この段階で送信者と受信者が1億光年離れていても、画像データは瞬時に届けることが可能になります。
こう言うと「ついにSFに出てくるような超光速通信が実現するのか?」と思われるかもしれませんが、残念ながら違います。
というのも、結果を操作するだけの送信者側と違って、受信者側では粒子の状態を知るためは「観測」が必須となるからです。
たとえば送信者と受信者の間にもつれ状態の光子が100個ペア存在する場合「100ピクセル」の画像データを受信者側が観測した時点で、コミュニケーションは終了してしまいます。
新たな通話を行うには、再びもつれ状態の光子を100ペア生成し、送信者側と受信者側に届ける必要があるのです。
たとえば量子ペアを使い切った段階で送信者と受信者が1億光年離れていた場合、新たな光子のペアを届けるには光の速度でも1億年かかります。
そのため量子テレポーテーションを使った実質的な情報伝達は光の速度を超えられないと言うことができます。
(※地球にいる段階で100ペアのもつれた光子をわけあって、その後1億光年離れた場合のみ、やや特殊であり、その後はもつれた量子ペア数が尽きるまで画像でのやり取りが可能です。画像データの容量を節約すればするほど情報の往来を増やすことも可能でしょう)
また、この技術では送信者と受信者の間で、物理的な情報は移動しません。
情報のテレポートは見えない関係性の糸を辿って瞬時に行われるからです。
そのため基本的に両者の間での情報の傍受は不可能となり、情報伝達の安全性が高まります。
ただ研究者たちは、画像データをもとに光子の操作を行う非線形検出器(画像読み込み機)にハッキングが行われた場合には、情報が盗まれてしまう可能性があると述べています。
(※送信前の段階で情報が盗まれてしまう場合には、傍受への耐性は無駄になるからです)