選手同士でもこの有り様なのだから、観客からのヤジはもっと酷いものであることは想像に難くない。特にレアル・マドリードのブラジル人FWヴィニシウス・ジュニオールに対する「モンキーチャント(黒人選手に対し、サルの鳴き真似で蔑む行為)」はスペインで社会問題となった。

Jリーグにおいても2010年9月11日のJ1第22節、川崎フロンターレ対横浜F・マリノス戦(等々力陸上競技場/1-3)において、横浜FMサポーターから「ウッウッウッ」といった掛け声が起き、これが川崎FWジュニーニョとMFヴィトール・ジュニオールを標的としたモンキーチャントではないかと物議を醸した。

当時、モンキーチャントへの理解が薄く、確たる証拠もなかったためお咎めなしとされたが、何かと欧州の真似事が好きなJリーグのサポーターが、この行為を“輸入”する可能性も否定できないだろう。

現在、不良サポーターの取り締まりは“木を見て森を見ず”といった状況だ。中指を立てた者を締め出すのも結構だが、さらに重大な事象を見落とすことがないよう、Jリーグ側やJクラブの運営担当は注意深く、サポーターを監視し続けることが求められているのではないだろうか。