創設間もない頃のJリーグでは、発煙筒が黙認されていただけではなく、紙吹雪が舞い、チアホーンも応援グッズとして使用されていた。前者は国立競技場での試合の際、紙吹雪が近くを走る首都高まで飛んでしまい通行止めになったことで禁止され、チアホーンもスタジアム周辺の住民からの騒音被害の訴えがあり、販売自体が禁止されスタジアムから姿を消した。

時とともにサポーターの禁止行為も変化しているが、ピッチ乱入、発煙筒などの危険物持ち込み、差別は言うまでもないが、個人的なジェスチャーにまで罰則を科す根拠はどこにあるのか。仮に中指を立てた相手が自軍の選手ではなく、対戦相手の横浜FCの選手であれば見逃したのか。横浜FMの運営担当やJリーグ側は明確にする義務があるだろう。

Jリーグ 写真:Getty Images

一方で、YouTube撮影はOKに

一方で、Jリーグ側が緩めたルールも存在する。Jリーグは2022シーズンに「Jリーグ公式試合における写真・動画のSNSおよびインターネット上での使用ガイドラインについて」というリリースを出し、それまで禁止していた試合会場で撮影した写真や動画のSNS投稿を認め、試合シーンや大型ビジョンを写さないという条件付きながら、YouTube撮影も認めたのだ。

これによって、GoPro(アクションカメラ)を片手に観客席を回るサッカー系YouTuberが続出し収益を得ている。このルール運用でも、再生回数に応じた収益を認めた上で「クラブに対して愛の無い投稿は禁止」という非常に曖昧な線引きをしている。

中指を立てる行為は「ファックサイン」と呼ばれる米国由来のものだ。元々は「侮辱」というよりも「挑発」の意味合いが強いジェスチャーで、悪役のプロレスラーが対戦相手や観客に向けて行われることも多い(テレビ中継ではモザイク処理をかけられるのが一般的)。日本に上陸したのは1980年代で、テレビアニメの『ドラゴンボールZ』や『ジョジョの奇妙な冒険』などの作中でも描かれている。所詮は海外の真似事でしかないのだ。